文学

【和田誠氏追悼】

【和田誠氏追悼】 和田誠氏の、しゃれた軽いタッチで人物の内面まで映し出すようなイラストが好きだった。私の好みの本と氏のイラストの相性が良いのか、若い時に購入した本の装丁は和田誠氏のものがたくさんある。 その一冊に「お楽しみはこれからだ」とい…

【写真家・林忠彦と無頼派作家】

【写真家林忠彦と無頼派作家】 https://www.jti.co.jp/Culture/museum/exhibition/2011/1201jan/01/index.html これは「紫煙と文士たち」と題した写真展の 展示作品集である。林忠彦という戦後間もない時期から活躍した写真家で、日本の風俗や文士・風景など…

【書くこと話すこと】

【書くこと話すこと】 ランダムな写真10枚ほどを見せて、「これらから一枚の写真を選び、それについて1000字(2.5枚)程度の文章を書け」とかやったら、ヘタな入社面接より有効だと思う。 さらに詳しくその人物の思考能力を調べるなら、「ネット検索可で3時…

【11th Century Chronicle 1001-20年】

【11th Century Chronicle 1001-20年】 ◎平安朝女流文学 *1001頃/ 清少納言「枕草子」、この頃に成立か。この前年に出仕していた中宮定子が亡くなっている。 *1002頃/ 紫式部「源氏物語」の一部が成る。 *1004頃/ 「和泉式部日記」が完結する。 *1020.9.…

【芥川龍之介の自殺と、その文学】

【芥川龍之介の自殺と、その文学】 ◎1927(s02).7.24 作家 芥川龍之介(36)が自殺する。 文壇の鬼才と呼ばれた芥川龍之介が、この日未明田端の自宅で、歌人で精神科医でもあった斎藤茂吉からもらっていた致死量の睡眠薬を飲んで自殺した。一説では、青酸カリ…

秋刀魚の歌 佐藤春夫

久々に秋刀魚が豊漁だというニュースが入ってきた。そこで思い起こす詩といへば・・・ >>> http://www.mikumano.info/satoharuo/sanmanouta.html 秋刀魚の歌 佐藤春夫 あはれ 秋風よ 情あらば傳へてよ ――男ありて 今日の夕餉に ひとり さんまを食(くら)…

坂口安吾の断章から

坂口安吾の断章から*坂口安吾botより 「老人というものは、口を開けば、昔はよかった、昔の芸人は芸がたしかであった、今の芸人は見られないと言う。何千年前から、老人は常にそう言うキマリのものなのだ。それは彼らが時代というものに取り残されているか…

【昭和文学的自殺三態】

【昭和文学的自殺三態】 ○1927(s2).7.24 [東京] 作家 芥川龍之介(36)が自殺する。 文壇の鬼才と呼ばれた芥川龍之介が、この日未明田端の自宅で、歌人で精神科医でもあった斎藤茂吉からもらっていた致死量の睡眠薬を飲んで自殺した。一説では、青酸カリの服…

【1970年 三島事件の記憶】

【1970年 三島事件の記憶】 ≪爆報!THEフライデー【三島由紀夫の妻…壮絶人生】≫ 2017.11.24 http://jp.channel.pandora.tv/channel/video.ptv?c1=&ch_userid=okonomi4&prgid=55548360 三島由紀夫の没後47年として、TBS系で上記の番組が放映された。残された三…

【漱石における”明暗”】

【漱石における"明暗"】 漱石は、本格的に作家としてやっていくために、朝日新聞に籍を置いて「虞美人草」を書いた。恋愛というエゴと、日常の打算というもう一つのエゴのせめぎ合いを、藤尾という女性キャラに照らし合わせて、分光してみせた。 それまでの…

【「悲しみよこんにちは」とよもやま話】

【「悲しみよこんにちは」とよもやま話】 NHK BSプレミアムで「悲しみよこんにちは」をやっているのを観た。フランソワーズ・サガンの原作も昔よんだが(もちろん朝吹登水子訳でw)、映画は1958年英米合作で、セリフは英語。モノクローム・ベースで、回想シ…

【柳原良平追悼】(1915/08/19)

【柳原良平追悼】(1915/08/19) サントリー・トリスのシンボルキャラクター、「アンクル・トリス」をつくり出した柳原良平さんが死去。また懐かしい昭和の星が一つ消えた。 昭和30年代のサントリー(当時は「寿屋」)宣伝部には、後の作家 開高健、山口瞳、…

【『火垂るの墓』 野坂昭如原作小説とジブリ・アニメ版】

【『火垂るの墓』 野坂昭如原作小説とジブリ・アニメ版】 二年前にFacebookに書いたものが、浮き上がって来たので再掲してみる。 >> テレビでジブリ・アニメ『火垂るの墓』やってたので観た。どう見ても、お涙ちょうだい風に見えてしまうね。 実は初版のハ…

【ロートレアモンとシュルレアリスムとの偶然の邂逅】

【ロートレアモンとシュルレアリスムとの偶然の邂逅】 ”Salvador Dalí - Sewing machine with umbrellas” シュルレアリスムを語るときに、必ず引き合いに出されるロートレアモン伯爵の一節「解剖台の上での、ミシンと雨傘との偶発的な出会い(のように美しい…

【江戸川乱歩 没後50年】(2015. 8記)

【江戸川乱歩 没後50年】(2015. 8記) NHK ETV特集「二十の顔を持つ男〜没後50年・知られざる江戸川乱歩〜」を観た。 乱歩に出会ったのは中学生の頃、少年向けポプラ社の「怪人二十面相」シリーズ。その後、家の物置に講談社探偵小説全集が転がっている…

【京都・文学散策4】

【京都・文学散策4】 〇京都・文学散策10.雁の寺・等持院・紫野>水上勉『雁の寺』 岸本南獄が死んだ日の前日、…… 衣笠山麓にある孤峯庵(こほうあん)の住職、北見慈海が訪ねてきた。…… 「どうや、どんなあんばいや」 慈海和尚は、玄関に出た顔見知りの女中…

【京都・文学散策3】

【京都・文学散策3】 〇京都・文学散策7.二条后・芥川>『伊勢物語』六段 昔、男ありけり。女のえ得まじかりけるを、年を経てよばひわたりけるを、からうじて盗み出でて、いと暗きに来けり。芥川といふ河を率ていきければ、草の上に置きたりける露を、「かれ…

【京都・文学散策2】

【京都・文学散策2】 〇京都・文学散策4.紫野・賀茂の祭>『今昔物語集』巻二十八第二「頼光の郎等共、紫野に物見たる語」 今は昔、摂津守源頼光朝臣の郎等にて有りける、平貞道・平季武・坂田公時と云ふ三人の兵有りけり。・・・ 然て、紫野樣に遣らせて行…

【京都・文学散策1】

【京都・文学散策1】 〇京都・文学散策1.八百卯・丸善書店>梶井基次郎『檸檬』 どこをどう歩いたのだろう、私が最後に立ったのは丸善の前だった。平常あんなに避けていた丸善がその時の私にはやすやすと入れるように思えた。 「今日は一つ入ってみてやろう…

【金閣炎上 水上勉と三島由紀夫】

【金閣炎上 水上勉と三島由紀夫】 *1950.7.2 [京都] 金閣寺が放火で全焼する。 1950年7月2日の未明、国宝の鹿苑寺舎利殿(金閣)から出火、金閣は全焼し、舎利殿に祀られた足利義満の木像など国宝・文化財もともに焼失した。不審火で放火の疑いありと捜索中…

【伊藤野枝という破天荒な女】

【伊藤野枝という破天荒な女】 幸徳秋水の大逆事件を調べていたら、関東大震災直後のどさくさに、アナーキスト「大杉栄」らが虐殺された甘粕事件につながって、その時いっしょに謀殺された妻の「伊藤野枝」の名が出てきた。さらに、野枝に大杉を寝取られた前…

夏目漱石『坊っちゃん』と藤村操の「巌頭之感」

夏目漱石『坊っちゃん』と藤村操の「巌頭之感」 漱石は明治39年から、「ホトトギス」に『吾輩は猫である』を連載中で、その好評に意を強くして、『倫敦塔』『坊つちやん』と立て続けに作品を発表する。夏目金之助漱石は東京帝大卒の超エリート英文学者として…

フランケンシュタインと英語の絵本

【フランケンシュタインと英語の絵本】 『フランケンシュタイン "Frankenstein"』は、イギリスの小説家メアリー・シェリーが1818年に匿名出版したゴシック小説であり、SFやホラー小説の先駆でもある。原題は『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメ…

【三島由紀夫と男と女・右脳と左脳】

【三島由紀夫と男と女・右脳と左脳】 いま手元に三島由紀夫著「文章読本」というのがある。粗末な紙の印刷で、古本屋の店頭ならべてあったのを50円で買ったものだ。奥付には、昭和34年1月号「婦人公論」の別冊付録となっている。「不道徳教育講座」というエ…

梶井基次郎『檸檬』

【梶井基次郎『檸檬』】 「えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終おさえつけていた」 『檸檬』はいささか大仰な書出しで始まるが、当時すでに肺病を発症し、それに伴う発熱や神経衰弱に悩まされていた梶井基次郎の鬱屈した不快な心境を表わしたものだろう…

アンソロジー『奇妙な味の小説』

【アンソロジー『奇妙な味の小説』】 手元に、吉行淳之介編『奇妙な味の小説』というアンソロジーがある。1971年初版で写真のような黒一色のクロス装丁、透明なビニールカバーが掛かっていたと思うが、すでに取れて今はない。 全16編の短編リストを挙げる。…

「トランプ現象」と「負け犬白人」たち

【「トランプ現象」と「負け犬白人」たち】 (アメリカン・サブカルチャーでその淵源を辿る) >日本人がまったく知らないアメリカの「負け犬白人」たち http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50253 「トランプ現象」で世間が騒がしいが、この記事では、その…

【吉行淳之介から 警句的抜粋】

【吉行淳之介から 警句的抜粋】 ともかく、欲求不満はしばしば狂熱的行動を誘い出す。そして、恋愛と言うかたちの根本には、エゴイズムが絡んでいるというのが私の考えだ・・・(「狂熱的な恋」吉行淳之介) (オスカー・ワイルド「サロメ」に関して)たしか…

風に吹かれて風の歌を聴け

【風に吹かれて風の歌を聴け】 「完璧な文章などといったものは存在しない。絶望が存在しないようにね」 ―― 村上春樹『風の歌を聴け』冒頭より 「完璧な"〇〇"などといったものは存在しない。"絶望"が存在しないようにね」――たとえばこの倒置された会話文を…

水上勉と京都

【水上勉と京都】 作家水上勉は、直木賞受賞作『雁の寺』や、金閣寺炎上をテーマにした『五番町夕霧楼』及びノンフィクション作『金閣炎上』などで、京都を舞台とした作品を描いている。水上は福井県の寒村に生まれ、生家の貧困から9歳で京都の臨済宗寺院相…