文学

【金閣炎上 水上勉と三島由紀夫】

【金閣炎上 水上勉と三島由紀夫】 *1950.7.2 [京都] 金閣寺が放火で全焼する。 1950年7月2日の未明、国宝の鹿苑寺舎利殿(金閣)から出火、金閣は全焼し、舎利殿に祀られた足利義満の木像など国宝・文化財もともに焼失した。不審火で放火の疑いありと捜索中…

【伊藤野枝という破天荒な女】

【伊藤野枝という破天荒な女】 幸徳秋水の大逆事件を調べていたら、関東大震災直後のどさくさに、アナーキスト「大杉栄」らが虐殺された甘粕事件につながって、その時いっしょに謀殺された妻の「伊藤野枝」の名が出てきた。さらに、野枝に大杉を寝取られた前…

夏目漱石『坊っちゃん』と藤村操の「巌頭之感」

夏目漱石『坊っちゃん』と藤村操の「巌頭之感」 漱石は明治39年から、「ホトトギス」に『吾輩は猫である』を連載中で、その好評に意を強くして、『倫敦塔』『坊つちやん』と立て続けに作品を発表する。夏目金之助漱石は東京帝大卒の超エリート英文学者として…

フランケンシュタインと英語の絵本

【フランケンシュタインと英語の絵本】 『フランケンシュタイン "Frankenstein"』は、イギリスの小説家メアリー・シェリーが1818年に匿名出版したゴシック小説であり、SFやホラー小説の先駆でもある。原題は『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメ…

【三島由紀夫と男と女・右脳と左脳】

【三島由紀夫と男と女・右脳と左脳】 いま手元に三島由紀夫著「文章読本」というのがある。粗末な紙の印刷で、古本屋の店頭ならべてあったのを50円で買ったものだ。奥付には、昭和34年1月号「婦人公論」の別冊付録となっている。「不道徳教育講座」というエ…

梶井基次郎『檸檬』

【梶井基次郎『檸檬』】 「えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終おさえつけていた」 『檸檬』はいささか大仰な書出しで始まるが、当時すでに肺病を発症し、それに伴う発熱や神経衰弱に悩まされていた梶井基次郎の鬱屈した不快な心境を表わしたものだろう…

アンソロジー『奇妙な味の小説』

【アンソロジー『奇妙な味の小説』】 手元に、吉行淳之介編『奇妙な味の小説』というアンソロジーがある。1971年初版で写真のような黒一色のクロス装丁、透明なビニールカバーが掛かっていたと思うが、すでに取れて今はない。 全16編の短編リストを挙げる。…

「トランプ現象」と「負け犬白人」たち

【「トランプ現象」と「負け犬白人」たち】 (アメリカン・サブカルチャーでその淵源を辿る) >日本人がまったく知らないアメリカの「負け犬白人」たち http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50253 「トランプ現象」で世間が騒がしいが、この記事では、その…

【吉行淳之介から 警句的抜粋】

【吉行淳之介から 警句的抜粋】 ともかく、欲求不満はしばしば狂熱的行動を誘い出す。そして、恋愛と言うかたちの根本には、エゴイズムが絡んでいるというのが私の考えだ・・・(「狂熱的な恋」吉行淳之介) (オスカー・ワイルド「サロメ」に関して)たしか…

風に吹かれて風の歌を聴け

【風に吹かれて風の歌を聴け】 「完璧な文章などといったものは存在しない。絶望が存在しないようにね」 ―― 村上春樹『風の歌を聴け』冒頭より 「完璧な"〇〇"などといったものは存在しない。"絶望"が存在しないようにね」――たとえばこの倒置された会話文を…

水上勉と京都

【水上勉と京都】 作家水上勉は、直木賞受賞作『雁の寺』や、金閣寺炎上をテーマにした『五番町夕霧楼』及びノンフィクション作『金閣炎上』などで、京都を舞台とした作品を描いている。水上は福井県の寒村に生まれ、生家の貧困から9歳で京都の臨済宗寺院相…

野坂昭如、逝く 03

【野坂昭如、逝く 03】 *『エロ事師たち』 野坂昭如の小説家としてのデビュー作。それまで野坂は、雑誌のコラムやCMソングの作詞などをやりつつ、「(自称)黒メガネのプレイボーイ」などとして雑誌に登場したりしていた。 「オモチャのチャチャチャ」でレ…

野坂昭如、逝く 02

【野坂昭如、逝く 02】 『骨餓身峠死人葛』 近未来SFでディストピアがブームのようだが、野坂のこの作品は、いわばダークファンタジーと言えるだろう。そして『火垂るの墓』に対するネガティヴなメルヘンでもある。 戦前から戦後にかけて、「骨餓身峠」とい…

野坂昭如、逝く 01

【野坂昭如、逝く 01】 脳梗塞に倒れて以来、ながらく闘病中であった野坂昭如が亡くなった。いち早く追悼記事をFacebookに挙げておいたが、関連して、野坂も被告となった戦後猥褻裁判について整理してみたのを転載しておく。 戦後民主主義下で争われた猥褻文…

『海と毒薬』遠藤周作

『海と毒薬』遠藤周作 太平洋戦争中、撃墜された爆撃機の搭乗員であった米軍捕虜が、ひそかに生体解剖の実験対象にされたという衝撃的な事件が、終戦後明らかになった。この事件を題材にしたことは間違いないが、著者はこれをセンセーショナルな題材として扱…

『村上春樹氏、村上春樹について語る』(ウソ2www)

『村上春樹氏、村上春樹について語る』(戯文2) 完璧な村上春樹などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。 六月にデートした女の子とはまるで話があわなかった。 僕が南極について話している時、彼女は村上春樹のことを考えていた。…

村上春樹とノーベル賞(おちゃらけ文)

『村上春樹風にノーベル文学賞について語る』(おちゃらけ擬文ですよwww) 完璧なノーベル文学賞などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。 六月にデートした女の子とはまるで話があわなかった。 僕が南極について話している時、彼女…