自作品

自作品/『喫茶店にて』

自作品/『喫茶店にて』 文学にはまっていた学生時代、吉行淳之介や梶井基次郎の、無機質で透明な文体にあこがれて真似した。結局まともなものは書けなかったが、唯一「散文」としてまとまったものと思ったのが、この掌編だった。 ------ 『喫茶店にて』 小さ…

【美女と湖水04「水と妖怪」】

今回の蒐集では、本格的な妖怪の話題は予想以上にすくなかった。その理由のひとつには、先にのべたように現代人の生活環境には妖怪が棲みづらくなっていることが考えられる。水に関連してでてきた妖怪は、水辺に棲む妖怪の代表である「河童」の話が三題、そ…

【美女と湖水03「水と霊・祟り」】

女性とは特定できない霊や怪異のたぐいをここに集めた。「水」が霊や祟り・因縁と結びつきやすい、といった共通項程度しかさしあたっては思いうかばない。個別の話にあたっていこう。 <水の特異空間> 『教会の井戸』 《 京都ハリストス正教会の話 これは小…

【美女と湖水02「水と死体」】

『死体洗いのバイト』 《 死体が浮くかどうかの専門的なお話ではないのですが、「死体洗いのバイト」と共に、「浮いてくるホルマリン漬けの死体を沈めるバイト」という話もあったことを、ふと思い出しました。》 すでに「医学伝説」でのべた「死体洗いのバイ…

【美女と湖水01「水と女」】

この項の分類で中心となる話題は、「現代カー伝説」の章でも紹介した「消えるタクシー女性客」の系列のものが典型的である。都会の道路を現代の川にたとえれば、そこを走るタクシーなどの自動車は「川を流れる水」と解釈できるだろう。そして女性客の消えさ…

【美女と湖水00「流れる水と淀む水」】

『流れる水と淀む水』 《 流れる水は,物を運ぶ働きを持っています。日本の農村は,谷間である扇状地の中腹から上の方にかけて位置しているのが普通のようです。ちょうど,山にへばりつく形で農家が展開しているものが多いように感じます。(私がすんでいる…

美女と湖水のフォークロア00-02

【美女と湖水のフォークロア00-02】 この最終章では幅ひろく「水」に関係する話題を集めた。現代の伝説を取りあげるにあたって、まず第1章「異空間伝説」を中心として現代人の生活空間に焦点をあてた。また第3章「人体と人格のメタモルフォーシス」を核と…

【奇人・変人・怪人伝04「著名人・職業柄・県民性」】

<著名人伝説> 特定の著名人が、その個性のただよわせる雰囲気と結びつけられて噂となることもよくあることだ。だれでも知っている有名人であるだけに、ちょっとした笑話として流布しやすいところがある。 『市長選挙に出る梅原猛氏』 《 京都ではここ十数…

【奇人・変人・怪人伝03「あやしげな行為」】

『入門書を読む執刀医』 《 手術台に横たえられた患者の前に、『外科手術入門』という本を持って現れる執刀医、なんてのはタチの悪いユーモアかな(^^;。》 ここでとりあげるのはさきの「変人・奇人」とは異なり、普通の人でありその行為にもいちおう納得でき…

【奇人・変人・怪人伝02「怪人」】

『怪人赤マント』 《 むかし小学生のあいだで「赤マント」伝説がありました。なんでも「赤マント」という怪人が電柱の陰などにかくれていて、こどもをさらってゆくというのです。わたしたちはその恐怖におびえました。ついこのあいだ、こんどは「口裂け女」…

【奇人・変人・怪人伝01「奇人・変人」】

奇人と変人の境界は明瞭に区分しがたい。奇人のなかには体型の異様な人々もふくまれるであろうが、これは「人体変形」の部門でふれた「異形の人々」とほとんど重複してくる。怪人のように特別な悪さをするわけでもないのであるが、その特殊な躯つきが人々に…

奇人・変人・怪人伝01-04

【奇人・変人・怪人伝01-04】 今回の噂の蒐集できわだった傾向のひとつは、伝統的な妖怪の話題がきわめて少なかったいうことである。明るく透明化された現代社会には、古風な妖怪どもは棲息しづらいのであろうか。別の面から考えれば、現代人にとって妖怪が…

【食の怪05「ビジネスと食品」】

加工食品への不安はこの章のはじめにのべたとおりであるが、その不安の一端には製造販売業者の商業主義への不信があげられるだろう。食品にかぎったことではないが、異常に売れている特定の大ブランドが話題にのぼりやすいという傾向がみてとれる。マクドナ…

【食の怪04「食事行為」】

食習慣は文化風土によってさまざまである。場所が変われば食べるものも変わるし、調理法・食事作法などもいろいろ違ってくる。特に外国ともなれば、自分たちと大幅に異なる食習慣が笑い話の素材になりやすい。すでに紹介したなかにも、犬を食べる食文化を揶…

【食の怪03「インチキ食品」】

この章のはじめの「不気味な食品」もインチキ商品の系列であろうが、ここではそのような不気味さの少ないものを取りあげる。不気味ではないだけに滑稽ばなしの傾向が強い。 『毒のないフグ?』 《 今から数年前のある朝、通天閣のすぐ下で一人のホームレスが…

【食の怪02「人肉食品」】

『人肉ソーセージ』 《 ソーセージ工場では、作業員がよく指をハネ落とされるそうです。たかが指の先っちょ一つで何トンもの肉を無駄にする訳にはいきません。もちろん、「人肉入り」てな表示もいたしません(^^;。 指を落とした作業員には、「ち止め料??」と…

【食の怪01「不気味な食品」】

集計してみて、やはり圧倒的に多かったのが「異常な原料の加工食品」というネタであった。それもほとんどが「変な肉」の入った食品のたぐいで、典型的なのがジャンクフードの代表ハンバーガー。ネズミ、ネコ、ミミズ、カンガルー肉といろいろでてくる。店に…

食の怪01-05

【食の怪01-05】 食事行為というものは生殖行為とともに、人間が自らの自然性・動物性と直面するひとつの場面である。日常の自然から切り離された生活のなかでふと生々しい自然と向き合う時間、それが食事行為のもう一方の側面でもあろう。それが逆に日常生…

【人体のメタモルフォーシス06「人形」】

人形も人体変形の一部として取りあげてみよう。人形とはまさに「ヒトガタ」であり、人の身体を模したものである。となれば、ただの物体ではなくわれわれはそこになんらかの精神性を移入して取り扱うことになる。 ヒトガタは古来から呪術の対象であり、人間は…

【人体のメタモルフォーシス05「人体異常」】

なにかの要因で人体に異常現象がおこるという系列の話をここに集めた。この種の話には「だれにでも起こりうる」という共通の不安が下敷きになっていると考えられる。もっともたくさん出てきた話題が「ピアスの白い糸」であった。これは若い女性にはきわめて…

【人体のメタモルフォーシス04「異形の人」】

「首なしライダー」の話題でふれたように、奇形をあつかった噂は一般に差別や排除とむすびつきやすい傾向がある。ある種の「徴つき」の人々を、「異人」として外部に排除する性向である。あるいは自分達の側の内部がはらむ異常性への不安も、奇形への恐怖の…

人体と人格のメタモルフォーシス04-06

【人体と人格のメタモルフォーシス04-06】

【人体のメタモルフォーシス03「人体の部分」】

人体断裂という直接的な状況がなくても、人体の一部がそれだけで存在するというのはグロテスクで不気味なものである。この系列の話題には、部分として「手や腕」の多いのが特長的だった。人間の手というものは人体の中でももっとも活動的で機能的な箇所であ…

【人体のメタモルフォーシス02「人体消滅」】

このテーマも人体断裂系の話の延長線上に位置づけられるであろう。人体断裂は直接的な痛みだったが、ここでは人体そのものが消滅するという恐怖が付加されてくる。まずは、いささか滑稽味のある話から。 『人の熔けたキャラメル』 《 これも何人かの方が書か…

【人体のメタモルフォーシス01「人体断裂」】

『ネックレスひったくり』 《 ある人が香港でひったくりにあった。ネックレスは切れずに首が切れた。 (去年か一昨年、香港旅行計画中のOLから、旅行代理店の人の話として聞いた)》 人体の一部分がちょん切れたり切り取られたりするのは、物理的生理的な…

人体と人格のメタモルフォーシス01-03

【人体と人格のメタモルフォーシス01-03】 われわれは、自分の躯については「健常」であってほしいと願っているはずである。その躯が変形したり断裂したりする場合の恐怖と不安が、ここで取りあげる「人体変形怪談」の原点にあるとおもわれる。 さらに、人間…

【現代カー伝説04「車とジンクス」】

車が高速で移動するかぎり事故はつきものである。そして事故を避けたいという人間の心理は、現代人に神頼みをもさせる。交通安全祈願のお札はだれの車にもぶら下がっているはずである。さらには、なにげなく飾っているミラーマスコットのたぐいにもそれなり…

【現代カー伝説03「移動する霊・妖怪」】

<高速伴走するお化け> 事故にかなならずしも関係しなくとも、車にまつわる霊や妖怪は登場する。古典的な妖怪に「べとべとさん」というのがあるそうだ。ひと気のない山道などを歩いていると、ペタペタと足音がついてくる。振り向いてみてもなにも姿が見えな…

【現代カー伝説02「妖しげな事故」】

高度に発達した交通機関では、思いもよらない変な事故も起こりえる。ここでは、通常の交通事故以外のあやしい出来事を取りあげてみよう。普通ではありえない荒唐無稽な話でも、「ひょっとしたら」と思わせる可能性がわずかでもあれば噂は語りつたえられてい…

【現代カー伝説01「事故と霊」】

高速に移動すれば、当然事故も頻発するし事故死者もでる。となれば、事故と霊にまつわる噂が多いのはうなずけることである。事故多発地点には、かならずなにかが「でる」。 『事故多発地点での白い霊』 《 おまけですが、当時、私の通っていた大学の演劇部に…