【食の怪03「インチキ食品」】

 

 この章のはじめの「不気味な食品」もインチキ商品の系列であろうが、ここではそのような不気味さの少ないものを取りあげる。不気味ではないだけに滑稽ばなしの傾向が強い。
 

『毒のないフグ?』
《 今から数年前のある朝、通天閣のすぐ下で一人のホームレスが死んでいるのがみつかりました。司法解剖の結果、フグ毒中毒とわかりました。恐らく、ゴミ箱の中に捨てられたフグの内臓でも食べたのでしょう。そこで南署の署員が一応、付近のフグ屋に聞き込みに回りました。

 「あんたとこ、危ないの捨ててるんとちゃうか」と。多くのフグ屋はポリポリと頭をかきながら「以後、気をつけます」と謝りましたが、安くて有名な「フグ道楽」という店の板前だけは胸を張って「うちのには毒は入ってません」と答えたそうです。これが超安値の秘密だったそうな。

 大阪でサツ回りをしていた元M社の記者に聞いた話です。実話かどうかは不明。ま、確かに安いフグとカワハギは味も姿もそっくりですね。》
 

 「安いものは何か怪しい」というテーマのものが多い。これは「首チョンパソアラ」の例にもみられるように、なにも食品に限定した主題ではない。しかし口に入れるものであるだけに、「異常食品」と同様の不気味さがあるのであろう。これといった分析の余地もないので連ねて引用しておく。それぞれの話題の滑稽味を味わっていただこう。
 


『本格的インドカレー
《A 「最近できたタンドールのカレーは本格的なインドカレーらしいぞ!」
 B 「なんでそんなことわかるねん?」
 A 「だっておれ店の人に聞いたもん。『あなたはインド人ですか?』って」
 B 「で、なんてゆうてた?」
 A 「『ソウ、アルヨ』って」》
 

『但馬肉=但し馬肉』
《 ネコドナルドのパロディ版みたいな話。国道9号線沿いに、しゃぶしゃぶ食べ放題で、すごく安い店がある。入って食べたら、どうしても牛肉の味がしない。おかしいなと思って、店の近所のおみやげ屋に聞いたら、あの看板に書いてある但馬肉というのは、「但し馬肉」と読むのが正しいということだった。》

 

『ディスカウント酒店の洋酒は薄い?』
《 と,これは,今日行った酒類のディスカウントストアー関連の噂
 この店は,いわゆる価格破壊の店で,税務署が仕入先を調べるのに躍起になっていると言う店です。現在では5店ほどのチェーン店を持つ,一寸有名な店です。

 その1号店ができたてのころ
 1,あの店の洋酒は中身が入れ替えてある。
 2,あの店の洋酒は中身が薄いので飲んでも酔わない。
という2種類の噂を聞いたことがあったのを,今日,女房の荷物持ちで連れて行かれて思いだしました。5年ぐらい前の話です。》
 

『ローソンでダイエーの売れ残りを?』
《1)内容:ローソンの商品は、ダイエーの売れ残りを流している。
 2)東京都江東区内の都バスの中で
 3)中年あるいは初老の女性二人の会話を、高校生の息子が聞いてきた。》
 


『サービスボトルは飲み残し』
《 よく歌舞伎町あたりの居酒屋で撒いているチラシに、「無料ボトルサービス」とかいうのがあるけどね、あれは客の飲み残しを集めて一本にしたものなのよー。だから初めから封がきってあるのよー。(同じ頃、女子大生)
(これは、単なる真実でしょうか)》
 

『水増し肉・鉄球入り松茸』
《 やはり中国ネタですが,肉塊に注射器で水を注入し目方を増やすというのを聞きました。これがほんとの水増し,というオチ。他にも鉄球入りの松茸なんてのもありました。》
 

*『現代伝説考(全)』はこちらから読めます
http://www.eonet.ne.jp/~log-inn/txt_den/densetu1.htm