【現代カー伝説01「事故と霊」】

 高速に移動すれば、当然事故も頻発するし事故死者もでる。となれば、事故と霊にまつわる噂が多いのはうなずけることである。事故多発地点には、かならずなにかが「でる」。
 

『事故多発地点での白い霊』
《 おまけですが、当時、私の通っていた大学の演劇部によく顔を出していた、フリーターをしている演劇部OBの男性は、霊視能力を持っていると自分で言っていた。自動車を運転して、あるみつ辻にさしかかると、白いなにかが立っていて、おいでおいでするのが見えるらしい。そこは事故多発地点であるそうだ。》
 


 もうすこし生々しい体験談の報告もある。

『事故多発交差点で目撃!』
《 ここは出合いがしらの激突がとても多い場所です。深夜では相当なスピードを出してぶつかるので、死者も多いのです。5年ほど前だったか、深夜4時頃あった事故は、4人乗ってたクルマの乗員全員がスピードのだしすぎで即死したのです。180k出ていたのでは?、という話です。花束がたえません。
 何しろ、救急車までが追突されて走れなくなり、かわりの救急車がリレーした、という、面白い事故まで起こりました。(3年ほど前?)
 わたしの友人は、深夜12時、バイトの帰りにそこを通ったのです。バイクでR127を下っていました。下り勾配なのでスピードが出ます。前を何台か乗用車が走っていました。
 事故の多い八重原の交差点に近付いてきた時、突然、横断歩道に人影が見え、あぶない!!と思った瞬間、なんとその人はクルマにはね飛ばされ、3m近く舞い上がり、マクドナルドの前の歩道に叩きつけられるように落下しました。
 ああぁ、なんてことだろう!!。
 そう思いながら現場に接近していき、歩道の方を見てゾーっとしました。死体が無いのです。確かに歩道に落下したのを見たのです。他のクルマも、何ごともなかったかのようにそこを通過します。自分もそのまま通過したのですが、ふるえだしたからだはどうしようもなく、寒気がするので次の信号を右に曲がった角に7ー11があるので、そこに入ったそうです。
 とにかく怖くて怖くて、人のそばにいたかったのだそうです。本を売ってるコーナーで立ち読みしている振りをしながら、なるべく店員のいる方へ、また、他のお客が来たら、なるべくちかくににじり寄る様にして、震えが止まるまで、そうしていたそうです。2時間くらい出れなかったといってました。》
 

 事故死者の幽霊がでるのとは逆に、もともとその土地にまつわる因縁があって、それで事故がおこりやすいという流れの噂も多い。

『北海道開発強制労働者の霊と事故』
《 帯広の知人から聞いた話なのですが、近所の農家に夜な夜な出て、何故出るのかと問いただすと、道路際の農地の所を指し示すので、後日そこを掘ると、足枷をしたままの人骨が出たということでした。これは、北海道の幹線道路が開拓使による囚人の強制労働によって開かれた、という事情と関係があるようです。最近、頻繁に帯広周辺で発見されているそうです。
 そして、北海道で自動車事故が多発する原因として、この囚人労働のことが理由として噂されているようです。過酷な労働(足枷をし、鉄玉を付けたまま労働させたということです)によって死んだ強制労働の囚人の躯は、そのまま道端に放置されたということですし、脱走囚人も多くは死に果てたということです。》
 

 暗闇を高速で走っている場合などちょっとした錯覚もおこりやすく、それが幽霊を見たという話につながりやすいということも考えられる。その場所が特異な空間であればなおのこと噂になりやすいであろう。

『伊勢参道の幽霊』
《 三重県伊勢市内の、山田(外宮の周辺)と宇治(内宮周辺)を結ぶお伊勢参道(国道23号かそのバイパス?駅伝のコースになっているところです)は幽霊を見たという話が多い。
 「科学的」従兄の解釈では、沿道に等間隔でたっている石の灯籠が、ちょうど車のライトにあたって、幽霊みたような影を落とすからじゃないかとのこと…。》
 

 日本人にとって伊勢神宮というのが、特別な意味をもつ霊的空間であることはいうまでもない。それがさらに「内宮」と「外宮」とを結ぶ参道ともなると、なにやら先にのべた内と外の「境界」という観点とも結びついてくる。同様の境界性は峠やトンネルについてもいえよう。


『高速道トンネルの自転車』
《 私の経験では,北陸自動車道で富山まで行き,その日の帰り7時ごろだったと思いますが,敦賀を抜けたトンネルの出口あたりに,どうしても,自転車がはしっているように見えてしかたのないことがありました。疲れからくる<離人症体験>であると思いこむことにしましたが,,,》
 

 バイク事故と霊の話もたくさんある。二輪車での走行では事故を身近に感じやすいであろうし、またちょっとしたミスが悲惨な事故にもつながりやすい。そういったバイクライダー仲間たちは独特の噂空間をつくっているようで、オリジナリティのあるライダー伝説が語りつがれる。


『バイク事故跡の路面から血が滲みでる』
《 あとはまー、死亡事故現場でいつまでたっても路面の割れ目から血がにじみ出てきてそこを走るライダーを転倒させあの世にひきずりこもうとする、とかいうやつなんかもいろいろありますが、いずれも出典はわかりません。バイク雑誌で読んだやつかもしれないし、ライダー同士の宴会の席で出たネタかもしれないし、マスツーリング先での夜中、酔っ払っての百物語(というほどまともなものではない(=^_^;=))で出た話だったかもしれません(血がにじみ出てくるやつなんてのは単に雨の日にコケたやつが死者に責任をなすりつけようとしているのかもしらん(=^_^;=))。》
 

*『現代伝説考(全)』はこちらから読めます
http://www.eonet.ne.jp/~log-inn/txt_den/densetu1.htm