美女と湖水のフォークロア00-02

【美女と湖水のフォークロア00-02】
 

 この最終章では幅ひろく「水」に関係する話題を集めた。現代の伝説を取りあげるにあたって、まず第1章「異空間伝説」を中心として現代人の生活空間に焦点をあてた。また第3章「人体と人格のメタモルフォーシス」を核としては、現代人の肉体と精神の関係をひろく取りあげた。ここで取りあげる「水」は、そのような現代人の体内を流れる血液であり、また都市生活者の相互間をとり結ぶ神経系統のネットワークともたとえられるであろう。
 

 水をいかに解釈するかによってさまざまな視点が考えられる。水に対する伝統的な心性や文明史的な観点などをふまえて論じるとなると、この小論の射程には納まりきらないであろうし、またわたしの手の及ぶところでもない。
 

 今回の試みではさまざまな噂話の投稿ばかりではなく、投稿者相互のあいだで熱心な議論考察もくりひろげられた。それらの見解はこの拙論でも各所で参考にさせていただいたが、とりわけ「水」に関しては次の「その筋」氏の考察が示唆的であった。本題にはいるまえに、その考察のなかの「流れる水と淀む水」の一部分を引用させていただく。