「トランプ現象」と「負け犬白人」たち

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【「トランプ現象」と「負け犬白人」たち】 (アメリカン・サブカルチャーでその淵源を辿る)
 

>日本人がまったく知らないアメリカの「負け犬白人」たち
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50253
 
 「トランプ現象」で世間が騒がしいが、この記事では、その背景になった「負け犬白人」たちをリアルに解説してくれている。「ヒルビリー(Hillbilly)」と呼ばれる白人層で、ほかにも「レッド・ネック(red neck)」とか「ホワイト・トラッシュ(White Trash)」とかさまざまな蔑称で呼ばれている。

 何となくそういうことは聞いていたが、この記事ではアメリカン・サブカルチャーに沿って描いてくれるので、具体的にイメージできた。


 例えば映画やTVドラマでいうと、60年代の『じゃじゃ馬億万長者 ”The Beverly Hillbillies"』、アニメーション番組『ザ・シンプソンズ』に出てくる「スパックラー一家」、恐怖の対象としての「ヒルビリー」ではジョン・ブアマン監督の映画『脱出』(1972年)、そしてチェーンソーを手にした「恐い白人」が迫ってくるトビー・フーパー監督の『悪魔のいけにえ』(1974年)と並ぶ。

 コメディからサスペンスホラーまで、様々なタッチで描かれたヒルビリーが、こう並べられると具体的に繋がってイメージされてくる。これらは、白人のなかでもとくに男性を中心に取り上げて、「怒れる白人男性(Angry White Male=AWM)」と呼ばれることもある。
 


 ポピュラー音楽の分野では、「ヒルビリー」そのものの名が冠せられていた音楽ジャンルがあったのだが、これは今日「カントリー(C&W)」と呼ばれるようになっている。これは例えていえば、アメリカ人の「演歌」みたいなものとも言えるかも。

 ロックやフォークのように世界に広がることはないが、アメリカ国内ではそれらを上回る人気がある。日本では国民的歌手というと演歌界から登場するように、アメリカ国民的歌手の大物となれば、カントリー界の歌手になる。


 そのような西部劇やカントリーの世界では、独立独歩の価値観が称揚され、それはいわば「アウトサイダーの論理」でもある。そしてそれは、共和党の中に埋め込まれた価値観でもあり、『ダーティハリー』を演じたクリント・イーストウッドが、一貫した共和党支持者であるというのもすんなりと繋がって来る。

 これらの「負け犬白人」たちは、かつてのカウンターカルチャーの象徴であったドラッグではなく、いわばアルコールと入れ墨に沈潜するゾンビであった。そのゾンビが、トランプによって目ざまされたと考えると、これはかなり恐ろしい事だと言うべきなのかもしれない。
 

<追記>

 イージーライダーのラストシーンを、”アメリカ”に反発するカウンターカルチャーのヒッピーと、”アメリカ”に置いて行かれる、超保守化というより原始化、野蛮化したヒルビリーとの軋轢と捉えると、あの理不尽な終わり方の意味が分ってくる。
 そして、実質上”アメリカ”を支配する”ビッグブラザー”は、画面に登場して来ない。そのことが、不気味な将来を予感させて終わる。 https://www.youtube.com/watch?v=hjYAEtO-Ohk
 
 ビッグブラザーは顔を見せない。それは当然で、ヒトラーとかいった固有名では示されない集団であり、あえて言うならば「エスタブリッシュメント(Establishment)」という支配層である。
 そして大統領選では、ヒッピーの末裔たちはサンダースを支持し、ヒルビリーはトランプに期待をかけた。そして彼ら双方からは、ヒラリーが、ビッグブラザーの象徴として映ったわけだろうな(笑)

 

*アニメ『ザ・シンプソンズ』――16年前に、トランプそっくりの大統領を登場させて、トランプ登場を予言したとも言われているとか。>https://www.youtube.com/watch?v=4w8fm7OvsTQ
 

<追記2>

 ジョン・スタインベック怒りの葡萄』では、1930年代の大恐慌の時代、オクラホマ州はじめアメリカ中西部で深刻化した「ダストボウル(大砂嵐)」で、耕作不能となって流民となった農民の、苦難の移住の様子を描く。
http://cinepara.iinaa.net/The_Grapes_of_Wrath.html
 

 彼らがたどった「ルート66」は、やがて自動車道となり、1960年代のTV映画『ルート66』では、シボレー・コルベットに乗った2人の若者、トッドとバズのロードムービーとして登場した。
https://www.youtube.com/watch?v=ebOdXvYF27E
 

 そして、ダストボウル時代にカリフォルニアに移住したオーキーの一人、フォークシンガーのウディ・ガスリーを知った。あのボブ・ディランはガスリーの曲を聴いて衝撃を受けたという。
Woody Guthrie - Talkin' Dust Bowl Blues.AVI - YouTube
 

 彼らはカリフォルニアなどの西海岸に至り、小農となったり労働者となったり、そして末裔はヒッピーにもなった。この辺をたどると、「ヒルビリー」と全く対照的な下層白人という姿も見えて来る。彼らはサンダースのような左系民主党を支持したのではないか。

 このへんを、改めて探ってみたい。