『Get Back! 60’s ビートルズとわれらの時代』(別冊太陽 s57刊)

get buck60’s

『Get Back! 60's ビートルズとわれらの時代』(別冊太陽 s57刊)より

 1960年代(s35〜s45)はまさに高度成長の只中であり、さまざまな社会・文化現象が展開された時期である。

 そして団塊の世代(s22-24生れ)が、小学高学年から高校卒業に至る時期。おんぼろ木造校舎で授業を受けながらも、隣では新館コンクリート校舎が建設中であった。今日より明日がより良くなる、ということが信じられた時代だった。

 「戦後っ子」「戦無派」と呼ばれ、戦争経験や戦後飢餓体験をもたない第一世代として、高度成長期の消費文化を牽引した。彼らの思春期が通過していった「60's」は、まさにそのカオスが爆発した時代だ。

 ビートルズブームがそれを象徴し、「エレキブーム」「反戦フォーク」「アングラ劇団」「サイケデリック」「全共闘運動」「フーテン族」等々、新語が紙面を賑わせた。

 その「新時代の旗手」と呼ばれた世代が、今や「年金食い逃げ世代」として諸悪の根源みたいに言われてるのは、ゆるせん!(笑)
 

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*60'S付記

 60年代から70年代初めにかけて、多くの若者文化が登場したが、それらを主導したのは必ずしも「団塊世代(1947-49生)」ではない。
 
 東大全共闘議長山本義隆1941年、サイケのイラストレータ横尾忠則1936年、アングラ天井桟敷寺山修司1935年、状況劇場唐十郎1940年、ジョン・レノン1940年、ポール・マッカートニー1942年。

 エレキギター寺内タケシ1939年、プロテストフォーク岡林信康1946年、フォーククルセダーズ加藤和彦1947年・北山修1946年。

 日本赤軍重信房子1945年、よど号事件田宮高麿1943年、連合赤軍森恒夫1944年・永田洋子1945年。1972年に起こされた「あさま山荘事件」で逮捕された、連合赤軍下っ端だった残党にやっと団塊世代が出て来る。
 

 つまり60年代若者ブームをリードしたのは、団塊世代より3〜10歳年長のお兄さんお姉さん世代であり、むしろ団塊世代は、その「受け手」であり、その後に続いた世代だったのである。

 団塊世代の圧倒的な世代人口のボリュームが、通過していく過程で、さまざまな社会文化現象が引き起こされたが、それは団塊世代が主導的に何かをしたということではなく、その「世代ボリューム」自体が引き起こした現象だったのだ。

 「年金食い逃げ世代」などというのも、せっせと働き年金納付を続けた結果、やっと受取る世代となっただけであって、年金制度の制度設計に関わった訳ではあるまい。

 もちろん、福祉資金が老齢者に重点的に配布され、若年現役世代に過負担となっている制度は改めねばならないが、それは世代論とは別問題である。