【アメリカの歴史】08.大陸横断鉄道と西部開拓時代(1865年〜1890年)

アメリカの歴史】08.大陸横断鉄道と西部開拓時代(1865年〜1890年)

 

 西部開拓時代とは、19世紀(特に1860年代に始まり1890年のフロンティア消滅まで)における、北アメリカの時代区分の一つで、オールド・ウェスト(Old West)、ワイルド・ウェスト(Wild West)などとも呼ばれる。

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 フランス領ルイジアナ買収にはじまり、イギリス領カナダの一部を交換で獲得、スペインからフロリダを購入し、すでにメキシコから独立していたテキサスを併合、1846年にはオレゴンを併合し、領土は太平洋に到達した。さらに、メキシコとの間の米墨戦争に勝利しカリフォルニアを獲得するなど、ほぼ今の合衆国の領土に近づいた。

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 名目上の領土は太平洋へ到達したとは言え、インディアンとバッファローが散在するだけの荒れ地や山地ばかり。これ以降、インディアンと戦いながらフロンティアを西に進める西部開拓史が始まることになる。この時期、東西交通は馬車か船舶での移動に頼るしかなく、地上を行く馬車は移動に半年以上かかるし、船舶は南米大陸の南端を回る為、移動に4ヵ月以上を要した。

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 さらに、大平原(グレートプレーンズ)やロッキー山脈という大自然の難所を越えなければならず、インディアンの襲撃などもあって、西部は陸の孤島のような有様であった。この問題を解消するため、リンカーン大統領は南北戦争中から、東西交通の基幹となる「大陸横断鉄道」の建設を進めた。

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 鉄道建設は苦難の連続であった。西側からは苦力(クーリー)と呼ばれる中国人移民が動員され、東側からは食詰めた貧困白人が駆り出され、過酷な労働に従事させられた。それらの鉄道沿線には労働者街が形成されたが、これらの新たな街は法秩序が確立されておらず、アウトローのギャングなどによる無法地帯と化していた。

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 労働者たちは自ら武装して、自衛しながら線路を建設した。また、東部の司法制度はここまで及ばないため、無法者を裁判無しで処刑できる、いわゆる「リンチ(私刑)法」によって住民たちが対処した。さらに白人住民たちが「保安官」を雇う形で、かろうじて治安を保とうとした。しかし工事沿線では、自分たちの生活圏を脅かされたインディアンが蜂起し、多くの白人労働者を殺戮した。

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 1869年に最初の大陸横断鉄道が開通し、順次開業していくと、アメリカは実質的にも精神的にも、やっと国土が一つとなった。合衆国は、鉄道建設の邪魔になり、西部のインディアンの生活の糧でもあるバッファロー(バイソン)を、絶滅させる作戦をとった。組織的なバッファロー虐殺によって、数千万頭いた平原のバッファローは、フロンティアが太平洋側に達した19世紀末には、ほぼ絶滅した。そして、それを生活の糧としていたインディアンも、極端に減少してゆく。

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 横断鉄道の完成によって、本格的な西部開拓時代が到来した。広大な西部では放牧が盛んに行われ、牛を追いかけて生活するカウボーイのスタイルが西部を象徴するものとなった。また、国土を縦断して鉄道駅まで牛を追うロングドライブといった生活方式も生まれた。

 

 西部の人口は急速に増加し、生活圏を奪われたインディアンは、1860年代から1870年代にかけて、「インディアン戦争」と呼ばれる各部族による一斉蜂起を行った。しかし、基本的には部族単位で蜂起するインディアンは、米軍により次々に鎮圧されてゆき、保留地へ幽閉されるか殲滅されるかしかなかった。

 

 部族ごとに生活圏を共有するインディアンは、入植する白人のような土地所有概念がなく、自分たちの生活圏に侵入してきた白人たちを攻撃して追い払うだけだった。白人たちは「ドーズ法(インディアン一般土地割当法)」などを設けて、自分たちの土地所有概念に組み込もうとした。

 

 この法律は、インディアン部族の共同所有制のもとにある「保留地」を、インディアン部族員個人に対して分割して「与える」ことを目的とした。しかし、インディアンに与えられる土地はわずかで、大半は白人入植者側に組み込まれた。共同所有地を前提にした部族のコミュニティは壊滅させられ、インディアンの社会は根本から破壊され、彼らの土地のほとんどは白人農業者のものとなっていった。

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 西部の最大反抗勢力のスー族も、伝説的な英雄のシッティング・ブルやクレイジー・ホースが殺され、南西部でアパッチ族ジェロニモが投降し、「ウーンデッド・ニーの虐殺」を機に、「開拓に邪魔なインディアンの掃討作戦は終了した」として、合衆国は1890年に「フロンティアの消滅」を宣言した。