『Get Back! 40’s / 1947年(s22)』

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『Get Back! 40's / 1947年(s22)』
 
【民主的法体系の整備】
○3.31 「教育基本法」・「学校教育法」が公布される。

 新憲法に併せて新教育法が公布された。教育基本法は、軍国主義の教育の象徴とされる旧教育勅語を廃し、新しい憲法にそぐう民主教育の根幹を規定した。学校教育法では、旧来の一貫しない複線型学校体系を整備して、いわゆる「6-3-3-4制」を基本とする単線型学校体系に改められた。従来と区別するために「新制中学・新制高校」という言葉がよくつかわれた。

 就学前の子供の頃、父親が「しんせい」という言葉を使うたびに、当時父が吸っていたタバコ「しんせい」のことだと思い込んでいた。たしかに、この時期に発売されて新生日本を強く意識した命名ではあったのだろうが。ちなみに昭和9年生まれの兄は、ちょうどこの時期の新制中学一期生だと言っていた。学校設備などが追い付かず、当初は小学校内に併設された教室で学んだという。
 
○4.7 「労働基準法」が公布される。

 「労働基準法」は、この前後に制定された「労働関係調整法」と「労働組合法」とともに「労働三法」と呼ばれる。前の二法が組合団体活動を定めたのに対し、労働基準法は、個別の労働者の保護基準を規定したものとされる。
 

○4.14 「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」が公布される。(独禁法

 戦前の軍国主義に寄与した財閥解体などの施策に関連して、わが国でも独占禁止法が制定された。一概に独禁法と言っても、それぞれの国の経済事情に対応して、制定される経緯が異なり、アメリカでは、M&Aなど企業買収や合併などの集中を排除する目的に沿って形成されてきたが、日本では、市場競争の競争の維持など、消費者の利益保護を目的に発展してきた。産業構造の進展にともなって、その規制は、領域ごとに緩和されたり拡張されたりと変化を繰り返す。
 
○4.17 地方自治法が公布される。
○5.3 日本国憲法が施行される。
○10.21 国家公務員法公布。国家公務員の団体行動などを制約する。
○10.26 改正刑法が公布される。不敬罪・姦通罪を廃止する。
○12.17 警察法が公布される。警察の地方分権化と民主化をうたう。
○12.22 民法が改正公布される。

 多くの新法が制定されたが、「日本国憲法」は大日本帝国憲法の「改正」という形で制定された。同じく、刑法・民法も旧法の改正となっているが、当然ながらその条文は大幅に変更追加されたものになった。「改正刑法」では、大逆罪・不敬罪などが削除され、「改正民法」では、家父長制的な家族制度を基にした「家制度」が廃止されるなど、民主憲法に対応して改正された。
 

【戦後ショービジネス】
○1.15 [東京] 新宿帝都座5階劇場で、初の額縁ヌードショーが開演される。

 東京新宿の帝都座で日本初のヌードショーが上演された。舞台上に設けられた額縁の中で、裸体の女性が数十秒間ポーズをとるだけだったが、 これまで禁じられていたヌードということで多くの観客が殺到した。「名画ショー」と称して、秦西名画の『ヴィナスの誕生』などに見立てた構図でポーズをとった。やがて、浅草の常盤座などで本格的なストリップが上演されるようになり、全国に広がっていった。
 
○8.- [東京] 新宿・帝都座で初演された空気座による「肉体の門」の大ヒットは、その後の軽演劇に大きな影響を与えたと言える。

 戦後のパンパン(米兵などを相手にした娼婦はこう呼ばれた)風俗を描いた田村泰次郎作の小説『肉体の門』は、大きな話題を呼び、帝都座で新宿空気座によって初演されると、やがて1000回を超えるロングランとなった。「肉体の解放こそ人間の解放である」というテーマが受け入れられたのかどうか、その後何度も映画化やドラマ化された。

 私も中学生のころ、納屋に転がっていた本を見つけて盗み読みした覚えがある。戦後すぐの粗悪な紙で製本されており、しかも旧字体旧仮名遣いでの印刷だったが、一向に苦にならなかった(笑)
 
○9.- [大阪] 笠置シズ子が梅田劇場で「東京ブギウギ」を歌い、爆発的なブギ人気が起こる。

 https://www.youtube.com/watch?v=9FCmuZXLt9g

 笠置シヅ子は戦前から活躍していたが、当時の軍国主義下でステージは様々な制限を受けた。しかし戦後になると、歌って踊れるスターとして一躍ブームとなり、「ブギの女王」として一世を風靡した。服部良一作曲による『東京ブギウギ』が大ヒットすると、次々と『大阪ブギウギ』『買物ブギ』などのブギものをヒットさせて、「ブギの女王」と呼ばれた。

 のちに天才少女歌手と呼ばれる美空ひばりも、笠置シヅ子の物真似でデビューしたほどで、ひばりが登場するまではスーパースターとして芸能界に君臨した。私が子供のころテレビで観た笠置シズ子は、すでに歌を封印しており、大阪弁を話す不細工なおばさんとして、ドラマのわき役で登場する程度であった。
 

*この年
酒・たばこ・郵便・運賃など倍々の値上げ/配給不足で買い出し盛ん/スカート流行/性病が蔓延し推定患者数40万人
【事物】経済白書/国産ブルドーザー
【流行語】裏口営業/斜陽族/アプレゲール/ご名答/6・3制
【歌】啼くな小鳩よ(岡晴夫)/星の流れに(菊池章子)/炭坑節
【映画】安城家の舞踏会(吉村公三郎)/アメリ交響曲(米)/第七のヴェール(英)
【本】太宰治「斜陽」(新潮)/石井桃子「ノンちゃん雲に乗る」/田村泰次郎肉体の門