【半ドン効果】

半ドン効果】

 

 『「半ドン」よ、もう一度:令和時代“温故知新”の働き方改革』とのタイトルで、次のような記事を目にした。>http://agora-web.jp/archives/2038768.html

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 ただし、この記事にはいくつかの誤解があるようだ。半ドンのドンがオランダ語で日曜日を意味する"zondag”から来ているようで、その半分休みだから「半ドン」というのは合点がいく。

 しかしこれは、明治のころ、いまだ庶民に時計が普及していないので、皇居などで大砲の空砲をドンと鳴らして、正午を知らせたところから来ている。従って語源がzondagにあるかどうかはともかく、庶民は大砲の「ドン」という音のことと認識していたはずである。

 漱石の「坊ちゃん」でも、「腹の減った時に丸の内で午砲どんを聞いたような気がする」と使われていて、午砲と書いてドンと読ませている。

 

 語源はおくとしても、「昭和の末ごろ」に「法定労働時間が法改正されて、半ドンが多く採用された」というのは、明かな間違いだろう。実際には、明治9年に公官庁で土曜半休となったとされているし、学校や民間企業でも、少なくjとも、昭和30年代に兄が中堅企業に就職し、私は小学生になったった頃には、ともに「半ドン」を満喫していた記憶がある。

 小学生の頃には、メーデー(当時は5/1に固定)は平日でも、半ドンにして午后は休みにされた。これは教職員組合員が大多数の教師が、労働者の祭りメーデーに参加できるようにという配慮で、子供には関係ないのだが。

 あるいは、近所の鎮守の森の神社の秋祭りでは、その氏子地域の生徒だけが半ドンで帰してもらえた。それから張り切って神輿を担いだものだ。

 この時代には、比較的安直に半ドンが決められたようで、さすがに休日にするには全体的な判断が必要だろうが、半ドンは簡単に現場レベルで決められる融通性があったようだ。

 いずれにせよ、記事の趣旨は「若者の勞働意識に”半ドン”が与える効果」みたいなもので、それなりの意味があるかも知れない。

 丸ごと一日休みにして若者を朝寝させておくよりも、いったん出社なり登校してから、昼から解放されて街中で活動させる方が、経済活動としてはプラス効果があるだろうし、健康健全性にも寄与するかも知れぬ。