【21th Century / 2010(h22)年】

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《この年の流行は quote NHK平成30年の歩み》

ゲゲゲの~ いい質問ですねぇ ~なう AKB48 「アバター

 

◎男性連続殺人事件が、ほぼ同時に発覚する。

*2010.1.28/ 鳥取県内で相次いだ男性不審死で女逮捕(鳥取連続不審死事件)

*2010.2.1/ 首都圏での連続不審死事件で無職の女逮捕(首都圏連続不審死事件)

 

鳥取連続不審死事件)

 2009年11月、元スナックホステス 上田美由紀(36)が、鳥取県警に詐欺容疑で逮捕された。しかしその後、上田の近辺で不審死事件が次々と発覚し、翌2010年1月強盗殺人罪で逮捕された。上田は2009年に、借金の返済を迫られた鳥取県内の男性2人に、睡眠薬を飲ませて海や川で溺れさせて殺害したとして、強盗殺人などの罪に問われ、2017年8月に死刑確定している。

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 2009(h21)年4月11日早朝、鳥取北栄町日本海で、鳥取県若桜町のトラック運転手男性D(47)の水死体が発見された。遺体からは睡眠導入剤のほか、肺からは水死の場合、入るはずがない砂が検出され、他殺の可能性が高いとして捜査が始まった。

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 また同年10月7日、鳥取市電器店経営の男性E(57)が、鳥取市内の摩尼川でうつ伏せの状態で死亡しているのを発見された。前日、男性は「集金に行く」と言い残し出かけ、事件現場から約10m離れた場所で男性の車が発見された。事件現場は水深20cm程度の浅い川で、第三者に顔を押しつけられた可能性が高く、遺体からも睡眠導入剤が検出されたため、他殺と考えられた。

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 上田美由紀は上記2件で、強盗殺人容疑で起訴されたが、ほかにも、同10月27日に、美由紀と同じアパートに住んでいた男性Fが、急な体調不良で急逝した。Fは9月に美由紀の車を借りて運転していて衝突事故を起こすが、美由紀はFから金を受け取ったまま示談で揉めており、その1ヶ月後、Fは昏睡状態に陥って死亡する。

 

 捜査が進むと、上田美由紀の身辺では、さらにいくつもの不審死が明らかになった。2004年5月、当時美由紀の交際相手である男性Aが、段ボールに詰められた状態で列車に轢かれ死亡したが、自殺として処理されている。2007年8月には、美由紀の家族と共に貝を採りに鳥取の海岸に出かけた27歳の男性Bが、海で溺れ搬送された病院で死亡している。さらに2008年2月、鳥取市郊外の山中で男性Cの首吊り死体が発見された。Cは美由紀の働いていたスナックの常連客であり、2人の間で金銭トラブルがあったという。

 

(首都圏連続不審死事件)

   一方、ほぼ同時に発覚した木嶋佳苗(35)による首都圏連続不審死事件は、鳥取の事件以上にマスコミを賑わすことになった。木嶋佳苗は、インターネットの結婚紹介サイトで知り合った東京・千葉・埼玉の3人の男性を、いずれも練炭自殺に見せかけて殺害した罪などに問われ、2017年4月に死刑が確定している。

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 2009年8月、埼玉県富士見市の駐車場内にあった車内で、千代田区の会社員男性C(41)の不審遺体が発見され、死因は練炭による一酸化炭素中毒であったが、捜査の結果、犠牲者と結婚を装い470万円を受け取っていた木嶋佳苗が浮かび、埼玉県警は木嶋を結婚詐欺と殺人の容疑で逮捕した。婚活(結婚活動)を利用した事件で、「婚活殺人事件」として話題となった。

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 捜査につれて、木嶋には他にも多数の愛人がおり、その愛人の何人かが不審死を遂げていることが分かった。2009年1月、東京都青梅市の会社員男性A(53)が一酸化炭素中毒死し、2死亡直前にAの銀行口座から木嶋に計1700万円が振り込まれていた。

 

 また同年5月、千葉県野田市の男性B(80)が自宅で死亡、B宅は出火して全焼し、遺体近くの和室に練炭数個があり、死因は一酸化炭素中毒死。Bの父は著名な画家で、木嶋はBの家の絵を盗んで高価な値段で売っており、死亡直後に木嶋はBの銀行口座から190万円を引き出していた。

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 以上3件の殺人容疑で木嶋佳苗は立件されたが、ほかに、2007年8月、木嶋に7400万円を貢いでいた千葉県松戸市の自営業の男性(70)が、自宅の風呂場で死亡したほか、死亡日が不明だが、2件の男性(関東地方在住)の不審死が木嶋関連とされる。

 

 木嶋佳苗は、高校卒業まで北海道別海町で育ち、大学進学を名目に東京に出る。行政書士とピアノ講師という両親のもとで、それなりの素養を身に着けたとされるが、中学時代から援交をしているという噂があったりして二面性をうかがわせる。

 

 木嶋は嘘が得意で、吉川桜という偽名を用い「父親は東大教授で、自らはピアノ講師、フードコーディネーターである」と語っており、いくつもの詐欺で騙し取った金で、家賃22万円の高級マンションに住み、ベンツを乗り回していたという。殺人容疑3件のほか、詐欺など7件で訴追されている。

 

 上田美由紀木嶋佳苗の事件は、ともに男女の関係をもとにした詐欺・殺人事件だったが、一方で両人の太った容姿から、その恋愛詐欺との落差が話題を呼んだ。上田美由紀の場合は、詐欺をもみ消すための単純な殺人だったが、木嶋佳苗の方は、知的セレブを装い、幸せな家庭の癒しを期待させるという手の込んだ仕組みで、殺された男性の無念を増幅させる。

 

 

ギリシャ経済危機とEUの動揺

*2010.2.11/ EUが財政危機のギリシャへの金融支援へ

 

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 2009年10月、「新民主主義党」(穏健派・中道右派)から、「全ギリシャ社会主義運動」(左派)のパンドレウ新政権へ政権交代が行われると、旧政権(新民主主義党)が行ってきた財政赤字の隠蔽が明らかになった。それまで、ギリシャ財政赤字GDPの4%程度と発表されていたが、実際は13%近くに膨らみ、債務残高も国内総生産の113%にのぼることとなった。

 

 そして2010年1月12日、欧州委員会ギリシャの統計上の不備を指摘したことで、ギリシャの財政状況の悪化が表面化した。2010年1月15日、パパンドレウ新政権が財政健全化計画を発表するも、楽観的な経済成長率を前提にした計画内容で、不信をかった。ギリシャ国債の格付けが引き下げられると、ギリシャ国債が暴落し、ギリシャ政府が金融支援を要請することになった。

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 当時のギリシャは、公務員の数が労働人口の4分の1もの割合を占めており、年金制度も、55歳から早期受給が可能で所得代替率が90%を超えるなど、きわめて優遇された仕組みで、過剰な財政負担の問題を抱えていた。その上、2001年にギリシャは通貨をドラクマに代わりにユーロを採用したが、ギリシャ実体経済に比して有利に推移していた。

 

 2010年2月11日、EU首脳会合は、欧州の金融安定に必要な協調行動を取ることで合意し、ギリシャへの金融支援を表明した。実質的には、国際通貨基金IMF)・欧州委員会(EC)・欧州中央銀行(ECB)がトロイカと呼ばれて、ギリシャに金銭支援を行っており、トロイカは金融支援の条件としてギリシャに緊縮財政政策をとるように要求した。

 

 2011年9月にトロイカは、ギリシャがデフォルト(債務不履行)回避に必要な緊縮措置などを綿密に調査したが、ギリシャ国内では財政再建策撤回を求めてストライキ、デモが頻発するなど、財政赤字削減は進まず、10月には目標が未達となる見込みとなるなど、ギリシャが「ハード」デフォルトとなる可能性が高まった。

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 拡大してきたユーロ圏は、PIIGS(ユーロ圏の南欧などの5ヶ国)と呼ばれる財政不良国を抱えており、ギリシャのデフォルトがポルトガル、スペインなどに及ぶことが懸念され、ギリシャは無下に切り捨てられないアキレス腱となった。

 

 トロイカは、ギリシャの厳しい財政再建計画と引き換えに金融支援を打ち出すも、支援国側の意向がまちまちで足並みが揃わず、一方でギリシャ国内では、財政緊縮政策に反対する左翼政党が勢力を増すなど政権がまとまらず、パパンドレウ首相が辞任するなどして内政が崩壊状態となる。

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 2012年には2度も議会総選挙を行うなどして、やっと財政緊縮支持派が票を伸ばし連立政権の樹立に成功、ようやく事態は沈静化へと向かうこととなった。この一連の経済危機で、ギリシャの実質的な国内総生産は2009年から2012年の間に17%減少したが、2015年8月、欧州安定メカニズムが3カ年に及ぶ第3次金融支援を行うことで合意し、2017年4月、ギリシャは2016年基礎的財政収支(プライマリーバランス)が黒字に改善したと発表した。

 

 2017年6月、ユーロ圏財務相会合にて、ギリシャに対する85億ユーロの追加融資が合意され、巨額の国債償還の資金を確保し、ギリシャ発の金融危機が再発する事態を回避する。2018年現在、ギリシャの経済規模は、2007年と比べ3/4レベルに落ち込んではいるものの、今後は経済成長が見込まれるとして、当面は小康状態を保っている。

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 ユーロ加盟の利益をむさぼり放漫財政を続けたギリシャに対して、支援する側加盟国の批判は厳しいが、他にもPIIGSという爆弾を抱えているだけに、支援せざるを得ないというジレンマに陥っている。これはEUが、ユーロという経済統合にまで踏み込んだ、当然の帰結ともいえる。

 

 EU加盟国拡大政策とも連動して、政治・経済が安定しない国々にまで、ユーロという統一経済圏が及ぶことになった結果、それまでの通貨間の為替による調整機能が失われ、各国間の経済格差は、EU内部での政治的な調整が必須となった。そして、各国の経済的利害の対立が表面化することは、EUそのものの崩壊危機とも連動することになるのである。

 

 

尖閣諸島中国漁船衝突事件

*2010.9.7/ 中国漁船と海上保安部の巡視船が衝突

 

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 2010年9月7日、尖閣諸島付近の海域で違法操業をする中国漁船を発見、パトロール中の巡視船「みずき」が、日本領海からの退去を命じるも、それを無視して漁船は違法操業を続行する。しかも揚網後、舳先を巡視船「よなくに」に向け接触し、そのまま逃走を開始した。

https://www.youtube.com/watch?v=sVVM2AmvD5U

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 これを受けて「みずき」が追跡を開始し並走して停船を命令するも、漁船は意図的に「みずき」の右舷に船体をぶっつけた上、なおも逃走を図った。海上保安庁は、強行接舷して漁船を停船させ、船長を公務執行妨害で逮捕し、石垣島へ連行した。日本側の船長の起訴方針をみて、中国政府は複数の報復措置を展開する。

 

 報復措置として、閣僚級の往来を停止・日本との民間交流の制限・中国本土に日本企業社員の身柄を拘束、そしてレアアースの日本への輸出の制限などを、次々と繰り出した。また民間では、在中国の日本関連施設・企業などに、様々な反日抗議行動が繰り返された。

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 これらの中国政府の措置を受けて、菅直人首相と前原誠司外務大臣国際連合総会出席中で不在のなか、那覇地方検察庁が、船長を処分保留で釈放すると発表した。船長は「不法上陸」扱いで中国のチャーター機で中国へと送還され、帰国した船長は、尖閣諸島は中国領であると主張し英雄扱いされた。

 

 仙谷由人官房長官は、船長の釈放は検察独自の判断でなされたとしたが、当初検察は船長の起訴を念頭に動いており、国連総会出席中で不在の菅首相・前原外務大臣の判断のもと、仙谷官房長官を通じての指示で解放されたと考えられている。

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 漁船衝突の映像は、海上保安庁によってビデオで撮影されていたが、民主党政権は中国への配慮から、国民への映像の全面公開を一貫して拒否した。しかし船長の釈放後も、中国側は強硬姿勢を続け、次々と報復処置を連発したため、11月1日、6分50秒に編集された映像が、衆参予算委員会の理事らに限定して公開された。

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 こうした中、11月4日夜、投稿ネーム「sengoku38」によって、ネット動画サイトYouTubeに、中国漁船が巡視船2隻に体当たりする場面が収録された生々しい動画が公開された。この動画は、翌朝には全国ネットのテレビでも大々的に報じられ、騒然となった。

 

 11月8日、海上保安庁は被疑者不特定のまま国家公務員法守秘義務違反などで検察庁の告発したが、10日、現役の海上保安官一色正春が、映像を流出させたと名乗り出た。報道においては、公益や国益のための映像の流出と公務員の守秘義務の関係が論じられていたが、世論では概ね流出は妥当であるとの評価で、特にネット上ではsengoku38が賞賛され英雄視された。

 

 2010年12月、一色保安官を警視庁が国家公務員法守秘義務違反容疑で東京地検書類送検したが、保安官が退職願を提出し受理されたあと、翌1月21日、元保安官ならびに衝突事件を起こした中国人船長は、起訴猶予とされ、事件としては幕引きされた。

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 この事件では、官邸が何らかの指示を出して、地検に船長を釈放させたのではないかと、政治の司法介入が問題とされた。しかしそれ以上に、菅内閣は中国の恫喝に脅えて、中国人船長を釈放させたのではないかという、民主党政権の弱腰外交が、衝突画像の隠蔽と合わせて、国民的批判にさらされることになった。

 

 

 

(この年の出来事)

*2010.1.19/ 日本航空 会社更正法適用申請

*2010.2.12/ バンクーバー冬季オリンピック開幕

*2010.5.18/ 家畜の伝染病 口てい疫で宮崎県知事が非常事態宣言

*2010.6.8/ 菅直人内閣発足

*2010.6.13/ 小惑星探査機「はやぶさ」7年にわたる宇宙の旅を終え 地球に帰還

*2010.10.6/ 日本人2人にノーベル化学賞

*2010.11.28/ ウィキリークスが米外交当局の機密文書を公表開始