メロンパンとサンライズ

メロン

【メロンパンとサンライズ
 
 正統派メロンパン[写真1]が、全国区であるコンビニ・セブンイレブン宇治市内)に売っていたので、ついうれしくなって買ってしまった。

 実はこの形のものを「メロンパン」と呼ぶのは、京都や神戸あたりに限定される。関東はじめ多くの地区では、[写真2右]の丸いタイプだと思う。しかしこれは、当該地域では「サンライズ」と呼んで区別している。

 今回見つけたのは白っぽくて少し違うのだが、本来のメロンパンは[写真2左]のように焼き色がついている。その皮は、メロンパンがカステラ風にふんわりしており、サンライズはクッキー風にパリパリしている。

 両方共に神戸で最初に焼かれたという説が有力で、それが何故か大阪抜きで、京都に飛び地している。全国制覇している山崎パンが、サンライズタイプのをメロンパンと称して売っているので、殆んどの地域の人が、これを「メロンパン」だと思い込んでいるはず。

 [写真4]のようなマスクメロンの形に似ているのは、サンライズの方だろうというので、全国的にはこちらがメロンパンとして売られているのであろう。しかし、かつてメロンは高嶺の花であって、果物店の奥の高座にまつられていたものだ。そして「庶民のメロン」として我々の口に入ったものが、[写真3]の「まくわ瓜」であった。これを見れば、メロンパンがラグビーボールのような形をしている疑問も氷解するはず。

 一方、サンライズも、当初は網目柄ではなく、旭日旗のような放射状の線の模様だった。まさに「sunrise=日の出」だったのである。かくして「メロンパン」と「サンライズ」は、神戸で最初に作られたとされ、まったく別の菓子パンとして共存していた。それが何故、大阪を飛び越して、京都でも普及したのか、このあたりは、まだ謎として残る。
 

メロンパンとサンライズの分布や、その歴史を詳細にたどった記事を紹介しておく。
https://style.nikkei.com/article/DGXZZO03387570Y6A600C1000000


写真1


写真2


写真3


写真4


(付記)1020.03.16
 久しぶりに「元祖メロンパン」を見つけて買った。紡錘形で白餡入り、しっかり「神戸発祥」と書かれている。神戸と京都で普及して、なぜか大阪を飛ばしてるところも楽しい。

 ちなみにパン消費量ランクでは、第1位京都府・第2位兵庫県となっている。対照的と思われている京都と神戸だが、新しもの好きは共通していて、明治維新以来いち早く西洋のものを取り入れたのである。

 一版にメロンパンと考えられている丸いタイプのは、「サンライズ」といってまったく別もので、それをメロンパンと信じているのは、山崎パンに制圧されたパン植民地の住人なのである(笑)