【21th Century / 2007(h19)年】

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《この年の流行は quote NHK平成30年の歩み》

どげんかせんといかん 食品偽装 「千の風になって」 ユーチューブ日本語版開始

 

◎食品偽装問題多発

*2007.1.10/  洋菓子の製造販売大手不二家で、消費期限の過ぎた製品を出荷していたことが判明する。

*2007.6.24/ 北海道苫小牧市の食品加工卸売会社ミートホープは、豚肉・鶏肉等の混入したものを牛肉100%ミンチと偽装販売していたとされ、北海道警察によって家宅捜索が行われる。

*2007.8.-/ 北海道札幌市の石屋製菓が製造・販売する「白い恋人」の一部商品が、賞味期限を改竄して販売されていた。

*2007.10.12/ 三重県伊勢市の老舗「赤福」が、和菓子の製造日や消費期限を改ざんして販売されていた。

*2007.10.28/ 大阪の「船場吉兆」で、消費期限の偽装、牛肉の産地偽装、料理の使い回しなど、いくつもの不祥事が発覚する。

 

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 食品の偽装問題が頻発し、とくにこの年には「消費期限」を偽ったものが連続して摘発された。2007(h19)年1月、洋菓子の製造販売大手不二家では、埼玉工場で消費期限を過ぎた牛乳を使ったシュークリームを出荷するなど、洋菓子の品質が杜撰に管理されていたことが明らかになった。

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 2007(h19)年8月には、北海道土産として大人気の「白い恋人」の一部商品が、賞味期限を改竄して販売されていたとして、製造・販売する北海道札幌市の石屋製菓は販売停止に追い込まれた。また10月には、土産品の単品売り上げで「白い恋人」と一二を争う「赤福餅」(三重県)が、和菓子の製造日や消費期限を改ざんして販売していたとして、表示の改善などを指示された。

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 そして2007(h19)年10月、大阪の高級料亭「船場吉兆」では、福岡市の店舗で消費期限の切れた商品を販売していたことが判明する。それだけでなく、さらに「船場吉兆」は、牛肉の産地偽装や、客の食べ残した料理を別の客に使い回していたなど、数々の不祥事が発覚した。

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 2007(h19)年12月10日、女将の湯木佐知子ら取締役が会見を開き、経営陣の関与を認めた上で釈明会見を行った。会見で返答に詰まった長男の喜久郎に、佐知子が返答内容を小声で指示し、喜久郎がそれを鸚鵡返しする様子が、すべてマイクで拾われてしまうという爆笑会見となった。この会見により佐知子は、「ささやき女将」としてお笑い番組などでもネタにされた。

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 消費期限問題ではないが、2007(h19)年6月、北海道苫小牧市の食品加工卸売会社ミートホープに、豚肉・鶏肉等の混入挽肉を牛肉100%として販売をしていた疑いで、北海道警察の家宅捜索が行われた。ミートホープの創業者田中稔社長は、中学校を卒業後、たたき上げで事業を展開し、肉のことを知り尽くした「天才」と言われていた。しかしその実態は「商品開発」と称して、牛や豚の内臓など安い物や添加物を配合し、人為的に品質を良いものに見せかけるというものだった。ミートホープは消滅し、田中社長は詐欺罪等で、懲役4年の実刑判決を受けた。

 

 「消費期限」と「賞味期限」は混同されやすいが、食品表示法などでの「消費期限」とは、 食品衛生面での安全性に問題の出やすい生鮮食品など、おおむね5日以内に変質しやすい生鮮食品などで「定められた方法により保存した場合において、安心して食べられる期限」を示している。一方「賞味期限」の方は、加工食品など劣化が比較的遅い食料品で、安全性や味・風味などの一定品質が維持されると保証する期限を示すとされる。いずれも期限を過ぎれば必ず問題が起こるというものではないが、期限を守る方が無難であろう。

 

◎米 サブプライムローン焦げ付き問題

*2007.8.9/ サブプライム・ローンの焦げ付き問題で、世界同時株安が広がる。

 

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 サブプライム・ローンとは、所得の低い人や過去に借入金の返済に未払いがあるなど米国のサブプライム層を対象として、彼らの住宅購入用途向けに、購入する住宅に抵当権を設定し、抵当貸付とした住宅ローン、即ちモーゲージ・ローンである。


 サブプライムローンは、簡単に融資を受けられる代わりに、通常の住宅ローンよりも割高な金利で、一般住宅ローンの金利に当初0.1~0.6%上乗せし、2~3年後にはそれ3~6%に上昇し、返済が2倍以上に膨れ上がる。このローンは2003年ごろから急増し、06年末には米国の全住宅ローンの14%に当たる約1.4兆$を占めるようになっていた。

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 サブプライムローンは事後の不動産価格の高騰によって高利息が相殺される前提で、さらに住宅債券の証券化によってリスク分散される仕組みで、その融資額は急速に成長し、サブプライムモーゲージなどのサブプライム関連証券の発行額も急拡大した。しかし、住宅価格が頭打ちになるにしたがって焦げ付きが急増しした。

 

 米国内での住宅価格は2006年中盤にピークを迎えた後に下落したため、サブプライム・ローンの多くは、抵当となった住宅の譲渡をもってしてもローンの全額を返済し切れない不良債権となった。そのためリスクが増加すると、サブプライムモーゲージの利回りは切り上げられ、サブプライムモーゲージ保有していた金融機関や投資ファンド、政府系企業等は多額の損失をこうむり、世界的な信用収縮が起こった。

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 2007年夏、欧米金融機関のサブプライムローンによる巨額な損失が表面化したのをきっかけに、米国の株価は一気に下落、住宅市場の景況も悪化し、その結果、米国のGDPの約7割を占める個人消費を冷え込ませ、景気が後退するとの見方が強まった。

 

 そして、サブプライム問題による巨額損失のため、米大手銀行や証券業界などは巨額な損失を計上し、米国経済は大きなダメージを負った。さらに、金融証券化されたサブプライムモーゲージは、世界の金融機関や投資家にばらまかれたため、ヨーロッパの中堅銀行などでも巨額の赤字が計上された。

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 日本ではバブル崩壊の対応で精いっぱいで、大手金融機関は米のサブプライム関連商品に手を出す余裕がなく、比較的、被害は小さく済んだといわれる。しかし、世界経済が低迷のもとで、米国、中国などへの輸出で景気回復を遂げてきただけに、世界的な景況の停滞で、日本の輸出は大きな打撃を受けた。

 

 アメリカ合衆国の住宅バブル崩壊をきっかけに、サブプライム住宅ローン危機を始めとして、プライムローン、オークション・レート証券、カードローン関連債券など多分野にわたる資産価格の暴落が起こった。そして、翌2008年9月のリーマン・ブラザーズの破綻によって、「リーマン・ショック」と呼ばれる世界的な金融危機へと展開してゆくことになった。

 

◎第1次安倍内閣 自壊

*2007.5.28/ 関連団体の不適切な支出などを追及されていた松岡農相が、東京赤坂の衆議院議員宿舎で自殺する。

*2007.7.3/ 久間防衛相がアメリカの広島、長崎への原爆投下をめぐり、原爆投下は「しょうがない」発言で辞任する。

*2007.7.29/ 第21回参院選自民大敗し、民主党参院第1党となる。

*2007.8.1/ 赤城農相が後援会の事務所経費問題で辞任する。 

*2007.9.3/ 遠藤農相が、組合長を務める農業協同組合の共済補助金不正受給問題で辞任する。

*2007.9.12/ 安倍首相が、病気を理由に突然の辞任を表明する。

*2007.9.25/ 安倍内閣総辞職を受けて、福田康夫内閣が発足する。

 

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 安倍晋三は、母方の祖父に元首相岸信介、父親は総理目前で病に倒れた安倍晋太郎と、恵まれた政治家家系に生まれ、父晋太郎が急死すると、父の地盤を受け継いで1993(h5)年第40回衆議院議員総選挙に出馬し初当選する。2002(h14)年、小泉首相北朝鮮訪問に内閣官房副長官として随行し、小泉首相に毅然とした対応を要望し、その後の拉致被害者5人の帰国の実現に寄与した。

 

 2003(h15)年9月、小泉純一郎による抜擢で自民党幹事長に就任、幹事長として党内の各種制度改革に取り組んだあと、2005(h17)年10月の第3次小泉改造内閣内閣官房長官として初入閣をはたす。2006(h18)年9月20日、小泉の任期満了に伴う総裁選で、麻生太郎谷垣禎一を大差で破って自由民主党総裁に選出され、内閣総理大臣に指名される。戦後最年少で、戦後生まれとしては初めての内閣総理大臣であった。

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 2006(h18)年9月26日、安倍晋三は、第1次安倍内閣を組閣する。安倍晋三新首相は、この内閣を「美しい国づくり内閣」と命名し、小泉純一郎構造改革を加速させ、補強していく方針を表明した。しかし、第1次安倍内閣では発足直後から、複数の閣僚による不適切発言と「政治とカネ」の問題、杜撰な実態が発覚した年金記録問題、小泉改革負の遺産といわれる格差社会の深刻化の問題などが噴出し続け、安倍の対応ぶりがそのたびに問われた。

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 翌2007(h19)年7月の第21回参議院議員通常選挙において、政権与党の自由民主党公明党は共に歴史的惨敗を喫した。中でも自民党は、党創立以来守り続けてきた参議院第1党の座を民主党に奪われた。このため自公政権参議院においては少数与党として「ねじれ国会」への対応を迫られた。

 

 この結果に対して安倍首相は退陣を否定し、2007(h19)年8月27日に安倍改造内閣を発足させた。しかし、組閣前にすでに、赤城農相が事務所経費問題で辞任していたが、組閣後すぐに新任の遠藤農相が、みずから組合長を務める農業共済組合農業共済補助金不正受給問題で辞任することになり、安倍内閣成立から3人目の農林水産大臣の交代となった。

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  さらに、外務大臣政務官の政治活動費多重計上問題、額賀財務大臣の事務所未登記問題、鴨下環境大臣の政治資金収支報告書の記載不備問題、内閣官房副長官政治資金収支報告書虚偽記載問題、経済産業大臣政務官の自宅電気代付け替え問題など、相次いで閣内の不祥事が発覚し、安倍の任命責任が問われる事態となった。

 

 2007(h19)年9月10日召集の国会で安倍は「職責を果たし全力を尽くす」と所信表明演説を行なった。しかし9月12日、テロ対策特別措置法の延長が厳しくなったことを理由に、突然に首相辞任の意向を表明した。また、安倍首相が内閣人事の主導権を幹事長(麻生太郎)― 官房長官(与謝野)ラインに奪われて、安倍主導の内閣改造が空中分解したためとも噂された。

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 安倍は9月13日から体調不良を理由に都内の大学病院に入院していたが、辞任表明会見後の最初の記者会見で、病気が辞任理由であることを表明した。安倍内閣の総辞職を受けて、9月26日、福田康夫内閣が発足した。戦後最年少首相として期待された安倍晋三は、第1次安倍政権としては約1年、第2次改造内閣はほぼ1ヵ月という短命内閣となった。

 

(この年の出来事)

*2007.1.21/ 宮崎県知事に、お笑いタレントの東国原英夫が初当選する。

*2007.3.6/ 北海道夕張市財政再建団体に陥る。

*20074.17./ 長崎市伊藤一長市長が拳銃で撃たれ死亡する。

*2007.8.24/ 名古屋女性強盗殺人事件(闇サイト事件)が発生する。