【絵本のプレゼント】

【絵本のプレゼント】
 

 孫娘の二歳の誕生会をやるので来てくれと、次男ところから連絡があった。さて、誕生日プレゼント無しの手ぶらというわけにもいかず、久しぶりに本屋に寄った。


 学生時代に同居していた、兄とこの甥っこにも、金のない時のアイデアで絵本を選んだ。"せなけいこ"の「ねないこだれだ」とかは、今でも憶えている。
 

 本屋で目に飛び込んできたのが、"ばばのぼる"「11ぴきのねこ」シリーズ。とりあえず財布と相談して、三冊をラッピングしてもらった。

 「ばばのぼる」の名前を見て驚いた。自分の幼稚園時代、配布された幼児雑誌「キンダーブック」を眺めて、裏表紙に描かれていた漫画が、"ばばのぼる”によるものだった。幼児向けにカナ書きされていた筆者の名前を見て、「ババ(関西弁でウンチのこと)のボールやて、きたないなあ」と言った記憶があって、今でもあざやかに憶えている(笑)
 

 その、ほのぼのとした絵は、筆者の心そのものを表しているようで、子供向けの絵を描かせたら、馬場のぼるを越える者は居なかったと思う。その後、少年マンガが活劇もの中心で、ストーリー性が重視されるようになると、肌が合わず大人漫画にも取り組んだが、これも合わず、結果、絵本に重点を移したという。2001年没。


 馬場のぼるは、昭和30年前後には、手塚治虫、福井英一とともに「児童漫画界の三羽ガラス」と呼ばれた。大家の手塚は言うまでもないが、福井英一は柔道漫画「イガグリくん」などや「赤胴鈴之助」で大ヒット、あの手塚がライバル視したほどの売れっ子だったが、「赤胴鈴之助」の第一回目を描いた直後に急逝した。「イガグリくん」は有川旭一、「赤胴鈴之助」は武内つなよしに引き継がれ、ともに大人気作品となった。


 

 「キンダーブック」自体が、驚くべきことに昭和2年(1927年)発刊の、90年の歴史をほこる月刊保育絵本だった。出版元のフレーベル館は、代表的な出版物として、「キンダーブック」のほかにも、やなせたかしの「アンパンマンシリーズ」、「ウォーリーをさがせ!」などをプロデュースしている老舗児童書出版社である。