【狼たちの午後】"Dog Day Afternoon"(1975/米)
映画【狼たちの午後】"Dog Day Afternoon"(1975/米)
アル・パチーノとジョン・カザール扮する気弱な男たちが引き起こす銀行強盗事件。杜撰な計画のまま銀行に踏み込み、ドジが重なりまたたく間に警察に包囲され、人質をとり篭城するも徐々に追い詰められていく長い夏の一日を描く。
1972年に起きた実話に基づいたもので、映画は銀行内に篭城する2人のシーンを中心に展開するが、その裏に70年代の社会背景を色濃く反映している。プアホワイト、黒人問題、刑務所暴動、ヴェトナム帰還兵、ゲイetc。
ドジな計画で包囲され、孤立と焦りにいら立つ二人だが、客観的にはいささか滑稽に見える。しかしながら演出は、彼らにシンパシーを抱かせるように描かれ、アル・パチーノが外へ出て、野次馬たちにヒーローのように祭り上げられていくシーンは、なぜか滑稽な中に哀しみさえ感じさせる。
アル・パチーノとジョン・カザールの名演も見逃せない。「ゴッドファーザー」では、三男マイケルのアル・パチーノも名演だったが、意志の弱い次男フレドーを演じたカザールは、なんとも言えないファミリーの悲哀を表現していた。
カザールはこの後の「ディア・ハンター」撮影時に、すでに末期癌の診断を受けていたが、名演したのち、上演をまたずして死去する。共演のジョン・カザールとメリル・ストリープは恋人関係にあり、撮影中に婚約していた。
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