11【20世紀の記憶 1909(M42)年】

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11【20世紀の記憶 1909(M42)年】(ref.20世紀の全記録)
 

*2.17/米 北米インディアン最後の戦士ジェロニモ、屈辱と無念の生涯を終える。
 白人に対するアメリカ・インディアンの、最後の組織的抵抗を指導したアパッチ族戦士ジェロニモが、オクラホマのシル砦で虜囚として79歳で死去した。

 ジェロニモは誤解されるような「酋長」ではなく、シャーマンであり勇猛な戦士の一人であった。彼は、家族を皆殺しにされると復讐に立ち上がり、アパッチ族の戦士たちは、彼個人を慕って尊敬し戦ったのであった。

 山岳ゲリラ戦にたけたジェロニモたちは、白人入植者やアメリカ軍を恐れさせたが、偽の和睦提案に騙され、1886年投降して捕縛される。以後20年間、虜囚として幽閉され、故郷アリゾナのメキシコ国境へ帰りたいという願いもかなえられず、シル砦で屈辱のうちにその一生を閉じた。


 子供の頃、インディアンといえばアパッチ族で、英雄ジェロニモという図式でインプットされた。当時の西部劇では、インディアンは悪者と決まってたが、ジェロニモだけは英雄として尊重された存在だった。TV映画ライフルマンでなじみのチャック・コナーズジェロニモ演じている。「酋長」は邦題が勝手に付けたもので、このあたりからジェロニモ酋長という誤解が発生したのかも。
 

*4.6/北極 アメリカの探検家ロバート・ピアリー、ついに北極点到達する。

 ロバート・ピアリーが北極点に到達したと発表されると、もと同僚の探検家フレデリック・クックが、前年に到達していたと主張して、大論争となる。調査委員会はピアリーを最初の到達者と認定したが、のちにピアリーが証人を買収していたのが判明したりして、泥仕合となる。

 しかし2年後、アムンゼンとスコットの熾烈な南極到達競争が話題になると、世間の関心はそっちに移ってしまった。
 

*10.26/満州 抗日運動家安重根により、ハルビン駅で伊藤博文暗殺さる。
 前韓国統監伊藤博文が、満州ハルビンで、大韓帝国の民族運動家安重根によって射殺された。安重根は日本の管轄下の関東都督府に送られ、翌年、旅順で処刑されるが、韓国では抗日運動の英雄とされている。

 日本は、第三次に及ぶ日韓協約により、大韓帝国の外交及び内政をほぼ支配下に置いていた。伊藤博文は韓国統監として、韓国をほぼ保護国化しており、併合には比較的慎重派であったが、この時期には併合派に妥協して同意するようになっていた。


 伊藤はこの年、統監職を辞職し枢密院議長に就き、満州及びロシアとの権利調整に動くためにハルビンへ出向いたが、そこで安重根により暗殺された。前韓国統監としての恨みを買ったが、伊藤としてはむしろ用済みの案件にからんでの暗殺であった。
 

〇この年の出来事

*8.18/日米 2000本の桜、「親善大使」としてワシントンに贈られ、ポトマック河畔に移植される。

*11.11/米 アメリカ海軍、ハワイ真珠湾に世界最大の海軍基地を建設へ。

*12.31/米 ニューヨーク・マンハッタン島とブルックリンを結ぶ、マンハッタン橋開通する。たわみ理論による長大吊り橋の先駆となった。