’69/12/03『カライドスコオプ』

万華鏡

   ――どうか映像に
         意味を求めないでください――

人生の木の葉は落ちる落ちる
どこまでも長い旅路をゆく
キャラバンがオアシスを求めて
地底にもぐる雪の日の
熱さと同じように…
ハレムの主人が笛を鳴らすと
夜が明けて南の空が自転する
星空にひび割れが始まると
砂漠には雪が降る
ライオンは宇宙をかけめぐり
あらゆる物体の影をかみ切る
アラスカの雪原はどこまでも丸く
太陽がまっ赤に東の空に沈むと
真夜中がやってくる それは
グラスが粉微塵に砕けるときのごとく
じりじりと進んでゆく
風のイメエヂは月世界では
郷愁のもの想いとなる
そこではすべてが幼い詩人を
とりもどすから……
ゴンドラの沈む夢は幸福を意味し
死が自らを殺す前ぶれである
世界は永遠の膨張をおし進め
やがて偉大な殺戮の雨が降る
流星はすべてを肯定するがゆえに
自己を否定するのだ
矮小の終焉は闇の響きを
育てつつ歩む
どこまでも人生の
木の葉が落ちるごとくに………

('69/12/03 21歳 雑記ノートより)